ISBN:428604548X 単行本 かみっつ 文芸社 2008/03 ￥1，155


29歳になる一時間前の1月23日の夜に怖くなった。

　30歳まで後1年。20代最後の歳。

　俺はこのまま平凡に終わってしまうのかな。。

　平凡に死んでいくのかな。。

　死んだ魚のような目をしたおっさんを見ると怖くなった。

　先が見える怖さを痛感した。

　「何かしないと」と俺の心の中はその言葉連呼されていた。

　平凡の日常の中である本に出会う。

　その本を読み終わる頃、

　胸が熱くなり2週間はその本の余韻が続いていた。

　俺も人の心を動かしたいななんて淡い想いを抱いた。

　そんな中、身内に不幸があり

　遠い場所で色んなことを経験した。

　人のいい所、悪いところ、綺麗な所、汚い所。

　色々な部分に触れた。

　そこで意外な自分を発見できた。

　身近な人が死ぬと己が強くなる。

　その言葉を実感した。

　それは俺の人生の1ページということで書き記しておこうと思い

　事細かく書いた。

　それが意外と文章になっていて読み応えがあった。

　調子に乗って友達に読ませた。

　だが、けちょんけちょんにけなされた。

　「なんだこれ？作文か？」

　手応えがあったから悔しく思えた。

　「待ってろよ。いいの書いてやる」

　それから数週間、必死に書いた。

　見返してやろうと必死に書いた。

　出来上がったのを見せると

　「面白いじゃん」の言葉をもらった。

　調子に乗って感想欲しさにある出版社に原稿を出した。

　数週間後、封筒に入った紙が一枚。

　送った作品の感想が書いてあり執筆活動を続けてくださいとの事

　俺はプロからもらった感想に舞い上がった。

　物語を書ける自信に満ちた。

　そしてふと思う。

　家族に何か残せないかな。。

　せっかく物語を書けるようになったから

　物語に乗せて家族メッセージを送ろうと。。。

　一通り書き終わり前作よりも手応えは十分にあった。

　また感想が欲しくて出版社に原稿を送る。

　一昨年のクリスマスの日にA4サイズの封筒が送られてきた。

　なかを見ると3枚の書面が入っていた。

　内容は以前送られてきたものとは格段に熱い。

　そして最後に書いてあったのは「本にさせてください」

　こんな俺が認められた。

　この上なく舞い上がった。

　喜ぶのはつかの間。

　色んな事が重なってタイミングが悪くて断った。

　残念だった。

　でも諦めきれない。

　俺はでかい賞をとって本を出すことを決めた。

　まずは小さいのからと。。

　短編小説のコンテストに出すと佳作をもらった。

　この歳になって初めて賞状をもらった。

　でも悔しくてならなかった。

　次に出したのも短編小説のコンテスト。

　それが全国で2位を取れた。

　うれしかった。

　そのコンテストを主催していた出版社から出版の話がきた。

　悩んだ挙句決めようと思っていた。

　だけど最初に送った出版社から連絡がきた。

　もっといい条件で話が舞い込んできた。

　この出版社のほうがチャンスもある。

　

　俺はやると決めた。

　平凡に終わってしまうのは嫌だ。

　俺の生きていた足跡を残したい。

　家族に今の想いを形に残したい。

　
　俺の30年間の1番大きな事柄。

　俺の夢が1個叶います。

　文芸社という出版社から俺の本を出します。

　2008年4月1日刊行

　「親父の遺書」著かみっつ

　文芸社

　

　今まで皆に言えなかったのは

　こんな俺が。。みたいな

　何かおこがましさを感じ

　でも皆に言いたくて。。

　という複雑な想いがあって今まで言えなかった。

　今日、近くの本屋さんへ行ったら俺の本が並んでいた。

　2冊売れていた。

　俺の知らない誰かが俺の本を手にとって買ってくれた。

　言葉にならない想いがこみ上げてきた。

　この本が読んでくれた人の中で一人歩きしてほしい。

　どこまでも飛んで行ってほしい。

　俺が生きていた証がいつまでも残りますように。。

　なにより家族に俺の想いが伝わりますように。。。

　ペンネームはかみっつです。。