少年時代。

2006年8月4日
小学校の前の道を少し行くと大きな幹線道路が横切っていて


     それを黄色い歩道橋がまたいでいた。

  
   歩道橋の上から見下ろせば田園風景が広がり


      その中に一本の中央線のない道路。

  
  見渡せば端から端まで見えるほどの距離の道路があった。

  
     その道こそ俺が6年間通い続けた通学路だ。

  
   熱い夏はメラメラと照りつける太陽の光を遮るものはなく


    抵抗することなくそれを受け入れなければならない。

   
    寒い冬は冷たく突き刺さるような風を遮るもがなく


   抵抗することなくそれも受け入れなければならない。

  
      そんな通学路では色んなドラマがあった。


  小学校3年生の頃の土曜日の帰り俺は一人でそこを歩いていた。

  
  そこへ近所の顔見知りのおばさんが赤い車に乗って通りかかった。

 
      俺から数メートル先でおばさんの車は止まった。

 
  車から降りてきたおばさんは俺を家まで送ってやると言い出した。


         俺はそれをかたくなに拒んだ。

  
    だがおばさんもウチの親にいい顔したいのかしらんが

   
       俺をかたくなに車に乗せようとする。


   今度は手を掴まれた。俺はこの上ない力で引っ張り返した。


  のどかな田園風景の中で小学校3年生の男の子の手をひっぱるおばさん。


         二人とも顔はマジである。

  
    それもそのはず。おばさんはウチの親にいい顔見せたい。



           俺はというと。。


 
 それもそのはず、その時俺のパンツにウンコがついていたからである。


     
    
    ついてたというよりも、もう落ちていたのである。


   
   車に乗せられて俺のウンコの匂いが車中に充満したらとか


   その頃からおばさんの鼻事情を気にするこのやさしさ。

   
  乗せられたはいいが家についた途端にうちのオカンは言うだろう


         「あんたウンコ臭いね」


   これを言われた後の痛烈な心の痛み。と、おばさんの顔。


    
    学校でウンコもできない少年にはとてもとても重過ぎる。


  
       そんな思いで俺は手を引っ張り返した。


   
      俺のそんな強い想いに押されたのか。。。



      俺のウンコの匂いに気が付いたのか。。。



         おばさんは手を緩めた。


 
      おばさんは何も言わずに去っていった。


   
    今日帰り道その道を通ったので思い出しました。


   もうあの頃には戻れないんだなとシミジミした今日この頃。。



   


     次回は「出会いによって人は成長する」の巻


       綾心少年時代記    続く。

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